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俺、Hei Tanakaで見事に負けた

この6人で活動を再開した最初のライブの折に松永良平さんにインタビューしてもらった記事を久しぶりに読んだ。

僕はこのHei Tanakaを再始動するにあたって、その間僕の中で生まれて死んでった細胞を捨てられなくて髪の毛は長かった。

まだ6人でどんな事をしたいかも定まっていない時期だった。

その中で「俺、Hei Tanakaで見事に負けたい」と言っていた。
参照:http://heitanaka.tanaka-kei.com/rettou/talk01.html

それは、音楽に対してであったり、表現に対してであったり、社会に対してであったり
ある種の高揚感を確かに抱いて言っていたと思う。

それから月日は経って、カクバリズムに所属し、1stアルバム「ぼ〜ん」リリースし
全国ツアーを経て、東名阪ツアーファイナルワンマンライブが終わった今、胸の中を占めるのは。


「俺、Hei Tanakaで見事に負けた」


当初、それぞれの音楽的経験値で補えないような、音楽のような物を目指した。

初めて会うメンバーもいる中で、人間同士のやりとりが必要だった。

すぐに、この6人で良かったと思った。

メンバーそれぞれが好奇心を持っていた。

正解のわからん音楽も、謎なマッスルな練習も、無駄と思える時間も、誰も知らないHei Tanakaを作る役割を担っていた。

そして、僕らは目的地を持たずエンジンを得た。


次は燃料が必要だ。

まずは、譜面を外した。

ただでさえ、難解でとっかかりのない音楽なのに。

音楽にならない瞬間。何をするか。

何をしたら音楽でいられるのか。

試す。壊す。の繰り返し。そいつを見世物たらしめるものは、絶対に逃さない。

もはや、見にきてくれたお客さんもHei Tanakaの当事者だ。

1日の始まり。ここまでの道のり。明日の仕事。僕の欲望。

そして負けてもそれでいい。

また、誰も知らないHei Tanakaが、何度だって生まれる。

信じるしかなかった。

僕たちはいつだって無力だ。

しつこい程に植え付けた。


無限を手に入れた気分だ。


もうわかっていた事だった。

このエンジンを動かし続けるには、出会う人達のことが好きすぎる。

メンバー。レーベル。イベントを作ってくれるみんな。協力してくれるみんな。応援してくれる友人。そしてお客さん。


一歩も動けないし、残ったのは僕は無力だ。という確信。


ああ、俺、Hei Tanakaで見事に負けた。と思った。


憑き物が落ちたように。



さてと。

さぁさぁやりますか 

いよいよ始めましょうか

何が始まるか Hei Tanaka

それはどうかな Hey Mr.Tanaka

わからん時こそ おどれー うたえー ゆだねろー

2019年10月31日 Hei Tanaka 田中馨
写真:三田村亮 
撮影日,2019年10月22日 渋谷WWW